人の個性は素晴らしいものです。
それは敬意を払わざるを得ないものだと思います。
しかし、その個性が何かの事情で覆われて、現れていない場合があります。
そういう場合の一つの特徴は、自分に原因を求めず他に責任を転嫁する気持ちが強いことです。
人は話を聞いてくれる人に頼って誰かの悪口をいい、聞く側の正義感を煽ってくる場合があります。
それをそのまま鵜呑みにして同情すると、相手が感謝したとしても少しも相手の成長にならず、むしろ停滞させます。
まず慎重に見極めることが必要です。
しばしばみられるのは、自分に負い目があるのに、それを隠している人です。その人は上司などの批判をして職場の仲間の正義感を煽ることで同情を引き、聴き手を味方に引き入れようとするのですが、自分問題はしっかりごまかしています。
うっかり同調してその人の想念を吸い込んでしまうと、影響を受けて呑み込まれてあやつられます。
自分には悪い点があることをきちんと知っていて頼ってくる方には、しっかり聴いてあげて、本人に自分の問題と向き合うように支援することで、その方は成長できます。
本当に正しいことを言い、上司や会社の問題点を言ってくる人に対しては、よく聴いてあげて吐き出してもらい、場合によってはその方の代弁者になってあげることも必要です。
しかし特に注意が必要なのは、繰り返し過去に誰かに害されたと、自分の心の傷を訴えつづけ、それをずーっと言い続ける人の場合です。
初めはあまりの被害の大きさにびっくりして、同情して聴くのは仕方がないかもしれません。しかし、いくら聴いても、またいくら考え方の転換をアドバイスしても、手を変え品を変えて延々と〇〇のせいでこうなったと同じ訴えをする場合は、何かを隠している可能性が高いのです。
その方はおそらく、今の自分の問題、本音の気持ちを隠しています。その方の奥にはこのような気持ちが潜んでいる場合があります。
「自分が変わるのが怖い」
「仕事をしてもうまくいかない」
「自分を信ぜず尊いものと見ていない」
「今の不幸は過去の出来事のせいにして、今の自分の問題を認めない」
「過去のせいにして変わる気がない」
一番の問題は、今の自分を過去のせいにしていることです。そのために今の自分を見つめることを拒むことです。これが最大の問題です。
この方は、内心では自分が悪いという自覚はあります。悪いという自覚はあるのですが、それを誰にも知られたくありません。本当の悪い自分の心は誰にも話していません。
そういう人の中には、誰かに自分の苦しさを話していないと、どんどん妄想が膨らんできて、苦しくて仕方がないという人がいます。すごく害されていると妄想して話し、それが本当であるかのように感じるのですが、実はそれは妄想が膨らんでいっているのです。
こういう人は怖い夢を見たりします。夢は、その人が発したものがその人に返ってくるものです。その人自身の思いの中味が夢となって表れてきます。ですからその妄想は自分自身であると受け入れなくてはなりません。
こういう方は往々にして、相手の正義感をくすぐって相手をコントロールしようとする気持ちが潜んでいるので、聴き手は特に注意しなくてはいけません。
色んなケースを体験してみて、人の話を聴きその方をはぐくむというのは、単純な善意だけではできないことだと思い知らされます。
相手の言葉をじっと見極める目が必要です。相談してくる人の状態を見抜くこと、つまり同情するのではなく、心を見極めることが大切となります。
「なぜそうなるの?」
と繰り返し問い返し、相手に聞き、自分でも自問自答することで、少しづつ見えてくるものです。
自分の個性を伸ばすには、個性を覆っているものを見抜いて、その原因を突き止め、対決して乗り越えなくてはなりません。それは人の個性を伸ばす時も同様です。それでこそ自分の個性も、他人の個性もはぐくめるのだと思います。
心理カウンセラー・種村修(種村トランスパーソナル研究所)
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