2015年3月24日火曜日

わかりやすい境界性パーソナリティ障害③・・・極端に走る行動化



境界性パーソナリティ障害では、根底にある感情は見捨てられることへの極度の不安感情です。

また見捨てられるのではないか」という不安、居ても立っても居られない不安感。それはよるべのない不安なのですが、そうした不安感にさいなまれます。

それとともに、うつ、孤立無援感、自暴自棄、憤怒、絶望、空虚感などのネガティブな感情が吹き出してきます。これらは通常ではコントロールが出来ないほどの激しい感情です。

その激しい感情につき動かされ、驚くような行動に走ります

これを行動化といいます。行動化は「崩れ落ちそうな自分の心を、何とか支えるために逃げ道」であり、「あまりの不安でじっとしていられず」行うものです。

代表的な行動化は、8つあります。



①対人操作と見られがちな行動


「周囲を自分の思い通りに動かそうとしている」かのようにみられる行動をとります。

根底には「私以外の人と仲良くしている。見捨てられるかもしれない」「かまってほしい」「自分の思い通りに動いてほしい」などの切迫した気持ちが働いています。

境界性パーソナリティ障害の人は、人の微妙な心の動きには過剰なほど敏感です。そして、心に入り込むタイミングを掴む感度は抜群です。

自分にかまってほしい気持ち。それがあふれるほどあるため、「あなたにだけ」「ここだけ」を多用します。これは依存のための対人操作とみなされがちなのです。

逆に攻撃のために対人操作とみなされがちな行動もあります。見捨てられたと思いこんで恨むと、根も葉もない嘘をついて、その人の悪口を言いふらしたりします。

もっとも、これらは意図的に相手を陥れることを企むというより、あまりの心の苦しみからそうせざるを得ないのです。そうとらえるべきだと思います。



②自傷・自殺企図


行動化の代表とも言えるリストカットなどの自傷行為や、大量の服薬による自殺など、周囲を大騒ぎさせる行動をとります。

動機には、「苦しみから解放されたい」、「流れ出る血を見ることで生きている感覚を取り戻したい」、「自分が苦しんでいることを伝えたい」、「勇敢さや忍耐力をアピールしたい」、「もっと自分のことを心配してほしい」、「生きていたくない」という気持ちなどがあります。

境界性パーソナリティ障害の人は自殺率が810%と高いため、特に注意が必要です。



③性的逸脱


女性に多く見られますが、寂しくて不安で仕方がないので、少しでも自分に優しくしてくれる人には心も体も許してしまいます。低すぎる自己評価のために、ついつい自分を安売りしてしまいます。

「誰でもいいからだいてほしい」というのは、子供の頃に母親に抱かれる感覚を思いだし、一時的な安心感を求めていると思われます。十代の女性の妊娠の背景には、そうした心理が少なくないと思われます。



④依存


「この人はかまってくれる」と判断した相手には、徹底的に依存して独占しようとします。

理想化して「この人こそ私が求めていた人だ」と思いこむと、「ずっと一緒にいたい」「頼りきりたい」「かまってほしい」という「欲求」が噴き出します。



⑤攻撃


それまで全幅に信頼を置いていた人でも、少しでも自分の意に沿わない言動があると、「この人は私を見捨てた」「許せない、最低だ」「みんなに言い触らしてやる」と、手のひらを返したように攻撃し、根も葉もないうわさを流したりします。

白か黒か、理想の人か最悪の裏切者か、のどちらかの受け取り方しかできず、中間であるグレー(たとえば両面を持った普通の人ととらえること)がないのです。これを二分的思考法といいますが、境界性パーソナリティ障害の人やうつ病の人にも多く見られる認知の特徴です。



⑥衝動的行動


些細なきっかけでストレスが限界を超えると、その気持ちを紛らわせようとして、過食、大量飲酒、大量の買い物、ギャンブル、大量服薬など、衝動的な行動にでます。その結果、生活に支障をきたします。

耐えられないと思う「ストレスの値」が低い。つまりストレスへの耐性が低いのが特徴です。



⑦暴力


思い通りにならないと、怒りが抑えられず、暴力として噴き出す場合があります。いったん爆破してしまうとコントロールが効きません。

多くの場合母親に暴力をふるいます。最も愛してほしい人に、力ずくで言うことを聞かせようとするのです。幼児的な反応といえます。



⑧解離


リストカットをしたり暴力をふるっている間の記憶が抜け落ちていることがあります。これは解離によるものです。

心に大きな負担がかかると、それに心が耐え切れず、一瞬だけ意識が飛んでしまうのです。その間はのりうつりによる支配も受けていたりすることがあるため、その間の記憶がなく、血や壊れた家具などを見て愕然とすることもあります。



以上のような行動化の特徴がいくつも見られると、その人は境界性パーソナリティ障害である可能性がきわめて高いといえます。


対策については次のページをご覧ください。
http://tanemura2013.blogspot.jp/2015/04/blog-post.html

(参考図書)市橋秀夫監修『境界性パーソナリティ障害は治せる!正しい理解と治療法』大和出版


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直接お会いする対面カウンセリングとともに、電話カウンセリングやメールによるカウンセリングも行っています。相談してみたいと思われるかたは、お気軽にご連絡ください。
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カウンセリングルームは、JR常磐線・我孫子駅(千葉県)南口から徒歩10分にございます。

2015年3月19日木曜日

わかりやすい境界性パーソナリティ障害②……噴き出す感情




境界性パーソナリティ障害は「見捨てられることを恐れてなりふりかまわず行動する」心の病といえます。


たとえばこういうケースがあるでしょう。

ある女性は、幼児の頃に病弱でうつ状態だった母親にかまってもらえないことが多かったので、「見捨てられる」という「よるべのない不安を抱えて成長しました。小学校と中学校では友達からいじめられ「いつも一人ぼっち」という孤立無援感に苦しみ、ほとんど友だちと呼べる人ができませんでした。そのために見捨てられ、孤立することへの不安が極端に膨らみました。

家庭では欲求が通らないと、激しい怒りである憤怒がこみあげて母親に暴言暴力であばれるようになり、家の中のものが壊れました。学生時代には一人で下宿にいると居ても立っても居られない不安におそわれるため衝動買いしたり、性的逸脱も見られるようになりました。でも必ずその後でどうしようもないほど「心が空っぽ」という空虚感を感じて、深い穴に落ち込んだような抑うつ気分に陥りました。

会社に就職して付き合っていた男性が別の女性とレストランで親しく食事をしているのを見て、見捨てられたと思いこみ、自暴自棄になって「こんな自分はもうどうなってもいい」「私なんかいないほうがいいんだ」と絶望し、大量の睡眠薬を飲みました。メールでは自殺をほのめかしていました。


こうした事例は典型的な境界性パーソナリティ障害の女性のケースといえそうです。

ここで太字で書いた感情は、境界性パーソナリティ障害で特徴的に見られる感情です。

ストレスがたまるとこうした「感情」が統御できなくなり、自殺企図や過食、リストカット、衝動買いなど、さまざまな行動化が生じます。


境界性パーソナリティ障害に特徴的に見られる7つの感情を紹介します。


①憤怒・・・「絶対に許せない!」と怒りがこみあげてきて止まらない。


些細なきっかけで怒りの感情が爆発します。その怒りは統御できない激しいものです。

怒りの奥には「見捨てないで」「誰も分かってくれない」「自分は悪くない」「なんでわかってくれないの」といった思考がよぎっています。

怒りが収まった後は、自己嫌悪で一杯になります。


②空虚感・・・「誰も信じられない。心が空っぽ……」


この空虚感には、自分自身が分からないというもやもやした不全感と、「どうせ見捨てられる」というあきらめ、そして感情の暴発を恐れていつも感情を押さえつけていることから生じる空しさなどが入り混じっています。

そうした心の隙を埋めるためにリストカットなどの行動化が起きます。

むなしさに襲われて何もする気が起きない、倦怠感という身体症状の形になって出てくることもあります。


③孤立無援感・・・「誰も助けてくれない。私は一人ぼっち…」


「私を大切にしてもらいたい」と思い過ぎてしまうので、どうしても相手に過剰に期待します。

期待したのに意に沿わないことが起きると、裏切られたと感じてしまいます。それが怒りの爆発になったり、相手の心をえぐるような鋭い言葉になるので、周囲は距離を置くようになります。その結果、ますます孤立無援の孤独感に苦しみます。

「誰も助けてくれない」という気持ちの奥には、「誰かに助けてほしい、かまってほしい」という痛々しい心の叫びがあります。

「誰も愛してくれない」という気持ちの奥には「誰でもいいから愛してほしい」というすがりつく思いがあります。


④よるべのない不安・・・「不安で居ても立ってもいられない!」


この障害で一番顕著なのは「見捨てられ不安」です。

同時に「相手を思い通りにできない不安や「自分をコントロールできない不安も大きく、それがでるとよくパニックになります。

不安やそれに伴う恐怖が湧き起ると、自分では止めることができずに、押しつぶされそうになります。その不安が限界になると、些細な刺激にも耐えられなくなり、一線を超えたときに行動化に逃げます。薬物乱用などの衝動的な行動に逃げ込むのです。

不安が身体症状に出たときは、過呼吸になります。


⑤自暴自棄・・・「わたしなんてどうにでもなっちゃえ」


自己評価が極端に低く自分を大切にできないのも境界性パーソナリティ障害の特徴です。

思い描く理想の自分はあるのですが、その理想とは全く異なった自分に対して、強い嫌悪感を抱いています。

特に衝動的に自分や他人を害する行動をした後、たとえば大食いしてトイレで吐いた後、そういう自分に嫌気がさします。

また愛してほしいのに人が去っていくと、「自分は誰からも愛されないダメな人間」との思いがつのります。

その結果、「もう、どうでもいい」と自暴自棄になって、心の隙を埋めるために行動化します。たとえば万引きや奔放な異性関係や自傷行為などに走るのです。


⑥抑うつ・・・「生きていても楽しいことなんかない」


抑うつうつ)とは、気分が激しく落ち込み、何もする気になれない状態です。仕事も家事も勉強も何もする気がおきなくて、引きこもります。すべてが虚しくなり、自分を消してしまいたいとさえ思います。

普通の人が感じる落ち込みとは異なって、「抜け出せないほど深い穴に落ちたような落ち込み」が境界性パーソナリティ障害のうつの特徴です。

しかし、通常のうつは落ち込んだ状態が長く続くのに対して、境界性の人の場合は、すぐに立ち直ってハイテンションになって、周囲を巻き込むことが多く、短期間の間に感情変化が非常に激しく生じるのが特徴です。


⑦絶望・・・「また見捨てられた。もう終わりだ・・・」


愛情を求める気持ちが切実で強烈なだけに、裏切られたときの衝撃も大きく感じます。

その結果、絶望です。出口のない暗がりの道がずっと続いているように感じ、「こんな日々が続いていくのか」「生きていても仕方がない」と思うと、自傷・自殺企図へと行動化します。おそってくる絶望感に耐えられなくなるのです。

こうした症状がいくつも見られたら境界性パーソナリティ障害の可能性があります。極端な行動に 目を奪われるだけではなく、行動の奥にある本人の苦しみを、しっかりと理解してあげてほしいと思います。


わかりやすい境界性パーソナリティ障害鵜③はこちらです。

(参考図書)市橋秀夫監修『境界性パーソナリティ障害は治せる!正しい理解と治療法』大和出版



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2015年3月15日日曜日

わかりやすい境界性パーソナリティ障害①…代表的なパターン



パーソナリティ障害というのは、外からの刺激に対するその人の反応に病的な部分があることです。外界からの刺激とは、たとえば人の言葉であったり行動であったりします。それに対して見捨てられる」「拒否される」という不安がこみあげてきて過剰に反応するのが、境界性パーソナリティ障害です。


例えばある職場の女性が、「誰々さんと今度旅行に行くわ」と嬉しそうにいうと、パーソナリティが健康な人は「良かったね。楽しんでおいでよ」と言ったりするでしょう。ところが境界性パーソナリティ障害の人は、「私は仲間外れにされて見捨てられてしまう」という不安がよぎるため、「〇〇さんは気をつけたほうがいいよ」と言って、それを邪魔しようとします。強い見捨てられ不安が心の奥に存在するために、病んだ反応をしてしまうのです。


境界性パーソナリティ障害の代表的な6つのパターンを紹介します。
 

①リストカットを繰り返す


リストカットを繰り返す人は、「自分なんかどうでもいい」という自暴自棄の感情にとらわれています。「このまま生きていても仕方がない」と思うと、自分を傷つける自傷・自殺企図が始まります。

親や恋人はその自傷行為を見つけると慌てふためいて心配します。すると本人は「かまってもらえる」という安心感を感じて落ち着きます。

しかし、リストカットなどの自傷行為が重なると、「またか」と周囲が思うため、それほど心配されなくなります。すると「だれも私を構ってくれない」という空虚感(心がからっぽという感覚)に襲われ、さらに深刻な自傷・自殺企図を行います。本当に死んでしまうことがあるので、注意してあげてください。


②悪口を言いふらして人間関係を破壊する


だれかと親しくなるとベッタリと依存します。

ところが、別の人と楽しそうに話していたなど、周囲が驚くほどささいなことをきっかけに「見捨てられた」と強烈に感じます。

「私とだけ仲良くしてほしい」と思うので、相手の悪口を吹き込んで間を裂こうとします。自分の思い通りに相手をコントロールしようとする対人操作が始まるのです。

しかし、そうしたことが積み重なると、次第に人間関係が破壊されるので仲間内から疎んじられるようになり、その共同体には居られなくなります。こうして「見捨てられ不安」が強化されます。

こうして見捨てられ不安を現実化して自己確認してしまうような行動を、自らとってしまいがちです。決してそれが好きでそうしているのではなく、どうしようもない不安に突き動かされた結果、そうなってしまうのです。


③ベッタリ依存してお互いにボロボロになる


若い女性の多いのは、恋人に対して強い依存をすることです。

しかし、ある時別の女性とメールしていたことを知るや、「あんなに大好きだったのに、どうして?」と周囲が驚くほど、急激に相手を憎んで攻撃を始めます。

「絶対に許せない」と相手の釈明を一切受け付けず、やけ食いしたり、衝動買いしたりして、最後には大量に睡眠薬を飲んで自殺をはかったりします。

実際には未遂で終わることが多いのですが、自殺をほのめかすようなメールをもらったりすると、周囲はそのたびに振り回されてくたくたになり、やがて支援する側がボロボロになります。

過食、衝動買い、薬物多用などの衝動的行為は、境界性パーソナリティ障害の特徴です。
 

④寂しさにおそわれて、何人もの男性と寝る


「寂しくて、寂しくて死にそう」というよるべのない不安におそわれます。

寂しさや不安がおき、そこに急激に性欲が高まってくるのを感じると、何人もの異性と寝るなどの性的逸脱に走ります。抱かれている時だけは、不安が和らぎ抑うつからも解放された感覚を持つのですが、それは一時のことです。

冷静になった時には、「なぜあんなことをしたんだろう。恥ずかしい」と感じ、強い抑うつに襲われ、自分自身を強く責めます。


⑤親への怒りから、親に暴力をふるう


境界性パーソナリティ障害の人は「子供の頃に親から見捨てられた」と感じている場合が多くあります。

実際に親が離婚したり、別の人に引き取られたりという場合も少なくありません。

大きくなって「友達ができない」「就職もうまくいかない」などと、ひきこもって悶々と一人で考えていると、「これはすべて親のせいだ」という怒りがふつふつと湧いてきます。どうしようもない怒りがこみあげてくる憤怒の感情です。怒りが爆発すると親に暴力をふるいます。自分でも制御ができなくなります。

感情の嵐の後、自分がしたことの記憶がすっぽりと抜け落ちていることがあります。これを解離(この場合は特に解離性健忘)といいます。解離は境界性パーソナリティ障害にしばしば見られる症状です。


⑥医者やカウンセラーに不信を抱いて激怒する


カウンセラーや医療関係者とのトラブルが起きやすいのも特徴です。

クライエントを全面的に保護しようとする医者やカウンセラーには、強く依存します。

最初のうちはものすごく信頼を寄せてくるのですが、メールの返信が来ない、電話が通じない、などといった些細なことで不信感を持ち、「見捨てられた」と感じると、強い絶望感を抱きます。

「ひどい、私のことを見捨てるのですね!」「本当は私のことを大事に思っていなかったのですね!」「先生は人間として最低です!」などと憤怒の感情に支配され、周囲が驚くほど激しく怒り、非難するようになります。

医者の場合、主治医は攻撃に対象になり、病院でも悪口を言いふらされて対人操作が始まるので、結局治療が中断します。心理カウンセリングの場合は、カウンセリングルームに来なくなります。



以上、代表的なパターンを6つ紹介しましたが、これらはいずれも「見捨てられることに対する不安」が根底にあって引き起こされていました。

見捨てられ不安が増大すると、それに伴って寂しさや怒り・憤怒などといったネガティブな感情が膨れ上がります。そこから、悪口や自傷・自殺企図や衝動的行為や暴力といった自他を傷つける行動化が起きます。

結果として、ますます孤立してしまい「生きずらさ」が拡大します。これが境界性パーソナリティ障害の特有のパターンなのです。こうしたサイクルにはまって抜け出せなっている方は、是非ご相談ください。


この次はこちらに続きます。

http://tanemura2013.blogspot.jp/2015/03/7.html

(参考書籍)


市橋秀夫監修『境界性パーソナリティ障害は治せる! 正しい理解と治療法』大和出版

市橋秀夫監修『パーソナリティ障害(人格障害)のことがよくわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)』講談社


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2015年3月8日日曜日

境界性パーソナリティ障害16…「幼児の心」の支配




境界性パーソナリティ障害の人には、「大人の心」と「幼児の心」が二つながらあります。普段は大人の心で生きているのですが、強いストレスを感じると「大人の心」が「幼児の心」に入れ替わることがあります。すると「幼児の心」が本人を支配して、自己コントロールできなくなります。
 

「幼児の心」は、自分の欲求を満たしてくれると満足し、機嫌よくしているのですが、少しでもそれが損なわれると泣き叫び、不満と怒りをぶちまけます。


幼児は、母乳の出が悪いと不満で泣き叫びます。幼児にとっては、よくお乳が出るオッパイは「よいオッパイ」ですが、出ないオッパイは「悪いオッパイ」でしかありません。それがどちらも同じ母親の同じオッパイであるということなどは認識していません。その場その場の欲求を満たしてくれるかどうかが、「よい」「悪い」の基準となります。


メラリ―・クラインという精神分析医は、幼児はこうして部分部分、またその瞬間その瞬間の満足、不満で対象と結びついており、その奥に母親という全体があることを認識して関わることができないことを発見しました。


この段階の「幼児の心」にとって、自分の欲求充足を邪魔されると、これまで満たされ満足していたのに、その瞬間の不満や不快さにすべて心を奪われて、怒りを爆発させて、泣きわめきます。つまり、自分の思い通りにならない時、すべての非を「悪い」対象のせいにして、怒りを爆発させ、攻撃するのです。これが「幼児の心」です。


思春期に入って境界性パーソナリティ障害が発症した若者が、自分が欲しいものを親が制限して買ってくれないと、物を投げたり、親に悪態をついたりして、買ってもらうまで暴れまくるということがあります。これはその若者が、自分の中にある「幼児の心」に支配されている姿です。


これに対して「大人の心」とは、離乳期を超えたあたりから、しだいに発達してくる心です。


その頃から子供は、母親も一人の独立した存在で、自分の欲求を常にすべて満たしてくれるわけではないことを少しずつ理解するようになります。さらに成長すると、自分にとって都合の良い「よい母親」も、欲求を満たしてくれない「悪い母親」も、どちらも一人の同じ母親であることが理解できるようになります。そして相手の都合や気持ちにも配慮できるようになり、「良い」面も「悪い」面も両方を持った一人の人間として母親を認識し関係を持てるようになるのです。


この段階では母親に叱られたり、母親が悲しそうにしている姿を見ると、もう泣きわめいたり怒りをぶちまけたりせずに、自分のことも反省し、しょんぼりします。そして自分が我慢しなければならないことも理解できます。これがここで言う「大人の心」です。


境界性パーソナリティ障害の人は、強いストレスがかかり「子供の心」に支配されているときは前後の見境がなくなります。自己コントロールを取り戻すためには、まず自分の中には「幼児の心」と「大人の心」の両方があり、その両方ともに自分であると認めてることが必要です。そのうえで、「幼児の心」に支配されるのがどういう時かをよく観察して、そういう時はブレーキをかけようと意識し、「大人の心」が増えていくように努力する必要があります。


幼児の心で怒りをぶつけても、何もよくならずもっと悪くなっていくということを、一つ一つの現実を検証しながら理解していくことが大切です。それがブレーキになるからです。


なかには、傷ついた幼児の心が自分の心の中にいて、その児がずっと泣き続けているのを感じている人もいます。その場合は、その児がどういう気持ちで泣いているのか、共感的に理解してあげること、そして悲しみの奥にある罪悪感や羞恥心、自己否定の気持ちなどの原因を取り除いてあげることが必要です。それがうまくいくと、その児は急速に大人に成長します。


あるクライエントは、ずっと泣き続けていた幼子が泣き止み、微笑んで、自分と手を取り合って踊ったといいました。それ以来、その児と一緒に感じていたある種の抑うつ感情は消えたそうです。


しかし、重度の境界性パーソナリティ障害の方の場合、成長の途次でいくつかのトラウマ体験があるため、その段階でまた別の問題を抱えた子供が出てきます。ゆっくりと時間をかけて、それに対応していくことが必要です。

境界性パーソナリティ障害⑰に続く


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