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境界性パーソナリティ障害13…その他の特徴②




アメリカの「DMS-Ⅳ」の診断基準には書かれていない境界性パーソナリティ障害の重要な特徴について、前回に引き続いて紹介します。



③コントロールの問題



境界性パーソナリティ障害の人は、「自分をコントロールできない」と感じているので、「他人をコントロールしている」と感じる必要があるように見えます。

彼らは無意識のうちに他の人を、勝ち目のない状況に追いやったり、理解しがたい混沌を作り上げたり、「他人が自分をコントロールしようとしている」といったりして、それによって他人をコントロールすることがあります。


これとは逆に、境界性パーソナリティ障害の人の中には、自分自身の力を放棄することで「自分をコントロールできない」という感情に対処しようとすることもあります。

例えば、すすんで暴力で虐待する夫の言いなりになることを選択して、自分で判断したり善悪を考えることをやめたり、カルトに入って決められたがんじがらめの生活に身を置いたりするのです。


すべてをコントロールしなければならない」と境界性パーソナリティ障害の人が強迫的に思うのは、傷つくのを恐れているからです。

もっとも恐れているのは、「自分がさらけ出されること」です。自分がさらけ出されると、「自分が欠点だらけの人間だということに、皆が気がついてしまう」。その恥辱に耐えられないという気持ちがあるのです。


そこで、こういう感覚に支配されている境界性パーソナリティ障害の人にとってコントロールは、「誰からも恥ずかしい思いをさせられることがないようにするための方法」となるのです。こうして、他人の思考、感情、行動をコントロールしようとします。


しかし、このコントロールは、人間関係の親密さを破壊してしまいます。だれもが自分の意志や自由を尊重されたいと願っているからです。彼らは勘違いしているのです。誰かをコントロールすることによってではなく、自由意思によってお互いに尽くしあうことでのみ、本当の親密さは生まれるのです。



境界性パーソナリティ障害の人の家族や恋人は、彼らにコントロールされ支配されているという被害者意識を持つことが少なくありません。つまり「脅し」や「だんまり」や「激怒」など、とても公平とは思えないような方法で自分がコントロールされ、彼らに利用されていると感じるのです。


ところがほとんどの場合、これは先ほどの結論と矛盾しますが、界性パーソナリティ障害の人は操作しようとして意図的に行動しているわけではありません。

むしろそれらは、つらい感情に対処し、自らのニーズを満たすための必死の試みである場合がほとんどなのです。主観的意図的には、決して愛する人を傷つけたり支配したりしようとしているのではないのです。

たいていの場合、怖れや孤独、絶望や無力感から逃れようとして、衝動的に行動しているにすぎないのです

それが理解できると、境界性パーソナリティ障害の家族や恋人は、彼らを許すことや受け入れることができるようになり、ずいぶん気持ちが楽になると思います。


もっとも、実は内心で操作していたことに気がついたという人もいます。

ある女性は、大切な記念日に夫が自分を無視したと感じて、ひどく腹を立て、夫の前で夫が自分にくれたプレゼントを全部壊し始めたことがありました。彼女が一番気に入っていたプレゼント『愛の詩集』を破こうとしたときに、夫が止めてくれてほっとしたといいます。実は彼女は、プレゼントを壊したかったのではなく、夫が止めてくれるかどうかに関心があったことに、その時初めて気がついたのです。彼女は、夫を操作した自分を恥じましたが、それは無意識的なものでした。


本当は、境界性パーソナリティ障害の人の行動は、家族や恋人に対するものより、自分自身に対するものが多いのです。

たとえば境界性パーソナリティ障害の人の自傷行為は、家族の関心を引きつけ操作するというより、自分自身への罰としてみるとよくわかることがあります。プレゼントを引き裂いた女性も、夫が自分に関心があるかどうかを確認するために、まるで自分を罰しているような行為をしています。

本当は自己存在への深い否定の感情があり、それが罰と見える行動をさせているのです。

相手の気づかいを確認するにしても、自己否定感情がなければ、彼女はもっと別の方法をとったのではないでしょうか。



④対象恒常性の欠如



対象恒常性というのは、私たちが一人ぼっちであっても、自分を変わらずに気にかけて愛してくれる母親や父親や恋人などがいることを信じて、そのつながりを信じて孤独を乗り越えていく力のことです。自分を気にかけて愛してくれる存在を信じることができる能力であり、これがあると孤独で困難なときに、実際にその場に居なくても、その気遣いや愛を感じとったり信じることができます。


それは通常、お母さんがいつもそばにいてくれて、励ましてくれるイメージを心に中に持つことができる3歳ごろまでに獲得する能力です。


ところが、境界性パーソナリティ障害の人は、対象恒常性を持つことができません。つまり自分を気にかけ、愛し励ましてくれる人が実際に自分の目の前にいないとそのを感じ取り、信じることができないのです。

そうなると次のような衝動にかられます。


境界性パーソナリティ障害の人は、その人がその場に居て、自分のことを気にかけてくれていることを確認するためだけに頻繁に電話をかけてきます。ストーカー的な衝動は、実はお母さんがいなくなることを恐れてトイレまで付きまとう2歳児のしがみつき行動に近いものかもしれません。


あるいは、その人との絆を確認するために、写真を肌身離さず持ち歩いたり机に置いたり、もらったプレゼントをいつも身につけます。まるで子供がお母さんお代わりに毛布や人形を抱きかかえているように。


後者の方法は、境界性パーソナリティ障害が安心感を得られるようにするとてもよい方法です。対象恒常性が十分に確立していない子供にとって、母親の代わりになる毛布やぬいぐるみは、移行対象と言われます。移行対象があると、母親が目の前にいなくても安心できるのです。大人でも、大切な人との絆を確認するために、写真やプレゼント、手紙などを大切に持っている人は少なくありません。とても役に立つ方法です。

しかし、そこから一歩進んで真に信頼できる関係へと進むことが課題です。境界性パーソナリティ障害の人には、安定的に見守ってくれる人が伴侶となる場合がよくあります。その最も身近な人との関係を見直すことで、その課題は乗り越えてゆけるのではないでしょうか。


 境界性パーソナリティ障害14に続く。
http://tanemura2013.blogspot.jp/2015/02/13_22.html

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1.決して珍しくない症状



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そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
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境界性パーソナリティ障害7…特徴(4)怒りのブレーキが効かない

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「不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難」・・・(例)しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す。