2014年11月28日金曜日

境界性パーソナリティ障害1…愛情飢餓の苦しみを抱えて

 



1.決して珍しくない症状

 

境界性パーソナリティ障害は、最近増えつつあるのですが、対人関係が難しいという特徴があるので、大変厄介です。
リストカットを繰り返したり、自殺の企てを何度もしたり、摂食障害で拒食症や過食症に悩んだり、家庭内での親への暴力、援助交際などの性的逸脱などなど、こうした激しい行動の背景には、往々にして境界性パーソナリティ障害が潜んでいます。これに薬物への依存が加わることもあります。
そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。

アメリカではこの障害を持つ人は全人口の2パーセントもあり、さらに精神科外来患者の11%、入院患者では19%が境界性パーソナリティ障害の要素を持っていると言います。日本もそれに近づいてきているといわれています。



青年期に発症することが多いので、若い人の間では境界性パーソナリティ障害を持つ人は、大幅に割合が増えることになります。なかでも女性に多くみられ、80%をしめます。男性も20%を占めていて、性差がなくなっている現在では、男性が発症するケースも増える傾向があるようです。

 

2.見捨てられ不安と愛情飢餓


 境界性パーソナリティ障害を持つ人は感情がとても不安定です。


たとえば、片時も離れたくないほどの恋人だったはずなのに、突然鬼のような怖い顔になり怒りまくる。たんなるお友達のはずなのに、夜中まで突き合せておきながら、翌日はがらっと態度が変わり激しく罵倒する、などなど・・・。


こうした極端に不安定な気持ちや言動の元にあるのは「相手に見捨てられるかもしれない」という不安です。しかも、その「不安」は、本人が思いこんでいるだけで、相手にしてみれば全く心当たりがない場合がほとんどです。そのため何を怒っているのか、見当がつきません。


 境界性パーソナリティ障害の人は、大変深刻な「見捨てられ不安」をもっているのです。そのために、ささいな普通の人には何ともないほどの、ややそっけない振る舞いに対しても過剰に反応し、「あなたは私を本当には愛していない」、「もうお別れします」と突然攻撃的になって、関係を断とうとすることがあります。


関係が深くなればなるほど、依存への欲求の増大と裏腹に見捨てられることへの不安も増大するため、ものすごく親密に信頼してくれていたかと思うと、突然拒絶し攻撃的になるという変化に驚かされることになります。

通常は過去に親や兄弟などに傷つけられた経験があるため、それを無意識に関係が親密になった相手に投影してしまうので、ささいなことをきっかけに不信感と攻撃的で警戒的な気持ちが湧いてきて、それを本人も止めることができないのです。

この障害を持つ人に共通する特徴は、根底に深刻な「愛情飢餓」を抱えていることです。愛情飢餓を抱えているので、それを満たしてくれると思える人には際限なく要求をしてきます。その要求がどんどん重くなるので、半端なことでは支え切れなくなります。


 3.特徴的な雰囲気
 
この障害をもつ人はしばしば非常に印象的で人を惹きつける雰囲気をもっています。注意を向けずにはいられないような魅力とオーラを放っている人がいます。あるいは、ほっておけないような、保護本能をくすぐるものを感じさせる人もいます。

 とても繊細で、思いやりのある優しい気づかいをします。そうかと思えば、突然、びっくりするほどストレートな言葉で、痛いところをグサッと突いてきたりもします。相手のことによく気がつくサービス精神があるかと思うと、物凄く鋭く相手を打ちのめす言葉やドキッとするような大胆な振る舞いをするのです。そこに、枠にはまらない新鮮さを感じ、ともすれば魅了されることも少なくありません。

 人間関係では、あっという間に心の距離が縮まって、恋人同士のような親しみを感じさせ、甘えてこられるので、相談に乗ってあげずにはおれなくなります。ところがそうして親密に相談に乗り出すと、相手に不可解な言動が出るようになって戸惑いを覚えはじめるのです。

ある日突然、「もう別れます。今までありがとう」とか、「これ以上一緒にいると、きっと私のことが嫌いになり、私を見捨てるので別れましょう」と言って、連絡ができなくなることがあります。驚いて翌日自宅へ行くと、一日中泣いていたことが分かったりします。打ち明け話を聞くと、その内容の深刻さに圧倒され、守ってあげたくなります。

ところが、ある日突然「リストカットした」という連絡が入ったりします。また、突然、睡眠導入剤を大量に飲み倒れているということもありえます。

境界性パーソナリティ障害の人に力になろうとしはじめるや、平穏な日々が終わりをつげ、ドラマのような毎日を経験し始めることがすくなくありません。


4.発症の原因ときっかけ

 境界性パーソナリティ障害でよく誤解されるのは、この障害を「困った性格」だと勘違いされることです。実際には、そういう性格の人なのではなく、あるきっかけで「発症」(症状が現れる)するのです。ですから境界性パーソナリティ障害の人にはさまざまな性格の方がおり、正反対の性格の人でも同じ様な症状を呈します。ようするに、どんな性格の人でもいくつかの原因が重なると境界性パーソナリティ障害の状態になりえるわけです。

境界性パーソナリティ障害の原因は、長い時間をかけて用意されており、たいてい過去に愛情を奪われたり、見捨てられたような経験をしています。親との死別や生き別れといったわかりやすいもの。両親がそろっているにもかかわらず、母親が働いていて早いころから手元から離されたり、弟妹の誕生で両親の愛情が自分から離れがちという場合。母親が子供の気持ちを汲み取るのがうまくなく、寂しさをケアされないまま、見捨てられた感情を溜めて育った場合など、さまざまです。
特にDV(近親者の間に起きる暴力)や性的虐待などで深刻な心的外傷経験を持っている場合には、境界性パーソナリティ障害が起こりやすいのです。
 
そうした経験を抱えた人が、新たに喪失体験や見捨てられる経験、もしくはそれを想起させるような経験をすると、それがきっけとなって「発症」します。自殺の企て、手首を切るなどの自傷行為、危険な性交渉、非行、薬物乱用にエスカレートする場合でも、そうした体験がきっかけになったりします。

大変深刻な症状が出たとしても、境界性パーソナリティ障害は必ず治ります。永久に続く固定した性格ではないからです。多くは思春期から青年期、時には30代になって始まります。その特徴は嵐のような感情と行動の失調状態が起きることです。しかし、止まない嵐がないように、通常は数年から十年以内には嵐は終わりに向かいます。

 回復に向かうと、境界性パーソナリティ障害に特有の「症状」は薄れていき、本来の性格に戻っていきます。以前と同じに戻るのではなく、大きな試練を経験することによって成長し、成熟した姿に「脱皮」を遂げていくのです。

こうした方は、大変生きづらい中を乗り越えるために「鋭敏な感性」や「人に対する献身や思いやり」「常識の捉われない個性」を育てていることが多く、それがその人の魅力となります。さらに本人が努力し心が成長することで、それが「人に奉仕する仕事能力」や「個性的な表現能力」へと開花させている人も少なくありません。

境界性パーソナリティ障害2はこちらです。
 http://tanemura2013.blogspot.jp/2014/12/blog-post_17.html

(参考図書)岡田尊司著『境界性パーソナリティ障害』幻冬舎新書)


<ご案内>
種村トランスパーソナル研究所ではカウンセリングを行っています。
対面のカウンセリング以外にも、電話カウンセリングやメールでのカウンセリングも受け付けています。遠慮なくご利用ください。ご連絡をお待ちしています。
(カウンセリングルーム<希望>)
http://tanemura2013.blogspot.jp/2016/03/blog-post.html

電話09080518198
メールアドレスtanemura1956@gmail.com
カウンセリングルームは千葉県のJR常磐線・我孫子駅南口から徒歩10分の場所にございます。

2014年11月26日水曜日

(受講体験談)メール・カウンセリングを受けて



<コメント>メール・カウンセリングを約8カ月受けて、社会復帰を果たされたMさんがいます。トラウマになるような厳しい心的外傷を受けて、深刻な不安障害を抱えていた女性でした。詳しいことは書けませんが、そのMさんが種村トランスパーソナル研究所のメール・カウンセリングを受けた体験談を寄せてくださいました。


(投稿・体験談)



 1.潜在意識との対話をして



最初の頃には,正直,信じてはいなかった。潜在意識が存在することは信じているけれども,自分から対話するなんて,頭がおかしいのではないかと思いました。


 でも自分を変えたい一心で,何でもやると思いながら,先生の指導を受けながら半信半疑の気持ちで,試してみました。


 全ての悩みや苦しみは,時間が経つと自然に消えてゆくと信じていたのですが,

書いているうちに,怒りや悲しみなどいろんな感情が湧き上がって来たのです。過去のことはもう忘れていたと思いましたが,こんなに心の中に残っているとは,少し驚きました。


  「書いて吐き出せば楽になるから」と先生に言われても,心から信じてはいなかった。


ただただ,ひたすら先生が言った通りに従って書くことにしました。


 親に,元彼に,前夫に今まで言えなかったことや謝りたかったことなど,その

相手の潜在意識と対話することで,全ての感情を吐き出しました。


 今まで気になる全ての人に,そういう作業することで,潜在意識の奥に溜まっていたストレスを解消することができました


最初は気づかなかったけれども,しばらく経つと,心が以前より軽くなり,苦しみも多少減りました。



その時,それは書いて吐き出した効果だと認めたくなかった。


偶然だと思いました。

2.違う視野から自分を見つめる

でも,書いているうちに,いろんなことに気づかされて,自分の考え方や心の癖など


 そうすることで,自分を見つめるチャンスを与えてくれて,今までと違う視野から自分を見ることができたんです。


そして,もう一度自分を見直そうと思いました。


 人に知られたくないことを書くなんて,最初は多少抵抗があって,書くには勇気が要りました。

 今振り返って見ると,やっぱり書いて良かったと思います。


最初は効果が感じられないかもしれませんが,後になって,不思議に,今まで気にしていた事が消えたんです。


 また書くことで,自分の気持ちだけではなく、気にしている相手の気持ちも理解出来て,許すことも出来るようになるのです。

自分が書いたことは相手に通じていたかは分かりませんが,

一番言えることは,

自分自身が書く事によって,心が安らぎを得ることができました。


前向きにもなれました。



そして,書くことによって,自分自身が抱えた問題を見つけて,たくさん気づく事が出来ました。

3.偉大な力が潜んでいた

もう一つ感じたことは

潜在意識と対話することで,私達の中に

偉大な力が潜んでいることが発見出来たんです。


私達は一人一人が生かされて,導かれていることを体験することができました。


そうすると,寂しい気持ちは以前より軽くなって,恐怖も減ったのです。

メール・カウンセリングをきっかけに,

自分を変える事が出来ました。


そして,自分を信じることができました

,私自身の成長と共に,書くことがなくなり,

少しずつ回復に向かって頑張っています。

ここまで来られたのはメール・カウンセリングのお陰だと思います。


書いて吐き出すという方法は大きな役目を果たしていると思います。
 
これからもそれを活かしたいと思います。
(<種村カウンセリングルームの連絡先>

090-8051-8198


住所:千葉県我孫子市白山1-7-7 白山シャトー202

各種ご相談方法はこちらをご覧ください
http://tanemura2013.blogspot.jp/2014/11/blog-post_6.html

2014年11月25日火曜日

(投稿)ありがとう


1.祖母と母


私が30歳の頃に祖母は亡くなりました。

私が生まれた時は、祖父と祖母と同居していたのですが、

小学校の頃に祖父が亡くなってからは、祖母と、父親、母親、私で暮らしていました。

祖母と母親は、仲が悪く、そんな様子を見ても、父親は仕事を理由に仲裁に入ることすらしませんでした。

私は、毎日のように、祖母、母親の両方から、相手の愚痴を聞かされて育ちました。

私の母は、祖母からは、いじめに近いような扱いを受け、私は母親から、彼女がいかに不遇の目にあってきたか、を連日のように聞かされました。

何かをしてあげても、「ありがとう」一言すら言わない、と母親は祖母に対してはかなりのストレスを感じて日々を過ごしていました。

 
そんな祖母でも、時がたつとだいぶ体も弱ってきました。そうすると、今度は父親以外の自分の息子や娘達(父親は5人兄妹でした)を味方につけようと、わざわざ電話をして

「助けてくれ。このままいると、私は殺されちゃうよ。○○さん(私の母親)に説得して、私をいじめないでくれと伝えてくれ。」という話をしたそうで、それを真に受けた兄妹達が、母親に電話してきたという話を聞きました。

私が見ても、母親が祖母をいじめている姿は見たこともなく、全く祖母の狂言だったのですが、そのとき母親はとても悔しい様子をしていたのが、いまだに目に焼き付いています。


2.祖母の介護


祖母は、そのうち、骨粗鬆症がひどくなり、入退院を繰り返すようになりました。ちょっとした衝撃でも骨を折るようになり、そのたびにボルトで固定する手術をおこなっていたので、祖母にとってはとても苦しい日々であったようです。歩くこともできなくなり、とうとう寝たきりの状態になってしまいました。
 

母親は、自分の仕事もできず、介護の専念するようになりました。どうしてこんな目にあうのか、なんで私が嫌いな母親の面倒を見なくてはいけないのか。実の息子娘達は、私だけに介護を押しつけて、家にも来ずに何も手伝わない。なんで他人の私だけが・・・。

そうした何ともやるせない思いが、ずっと母の心の中にあったそうです。
 

そんな祖母が大嫌いな母でも、祖母が痛がっている姿はとても見るに堪えなかったそうです。涙を流しながら「痛い、痛い」と苦しむ祖母に、「がんばって、がんばって」と必患部をさすって、痛みを和らげようと、母も必死でした。
 
あるとき祖母が、母親ににっこり笑いながら言ったそうです。

○○さん、ありがとう。

そのとき、母親の心の中から、いままでの祖母に対するわだかまりや憎しみが一気に溶けて飛んでいったそうです。

母親も、涙を流しながら、「おばあちゃん、大丈夫だからね。がんばって。」と励ましながら、看病を続けました。

それから、まもなく、祖母は入院し、そのまま亡くなってしまいました。


3.ただ一人、泣き崩れる母


葬式の時にわかったことですが、祖母は実の子供からは相当嫌われていたようでした。

もともと性格が良くない祖母でしたが、御通夜の時に、祖母の遺体の前で、実の子供達がさんざん祖母の悪口を話していました。実の母親が亡くなっても、悔やむこともせず、悪口を言い続ける子供っていったい。それも遺体の前で・・・。


当然のことながら、遺体を焼いても、涙を流している祖母の子供達は一人もいませんでした。

ただ一人、私の母だけが、泣き崩れていました。


祖母の子供達(私の叔父叔母になるのですが)は、私の母親が祖母をいじめていると思っていました。この泣き崩れている母を見て、彼らはどう思ったのでしょうか。


祖母が亡くなった後も、いなくなった祖母の部屋を片付けながら、しばらく涙がとまらなかったそうです。「おばあちゃん、わたしはとても寂しい。これからどうやって生きていけばいいの。」

そう思うと、涙が止まらなくて仕方なかったそうです。
 

4.ありがとう


・・・祖母が母に言った「ありがとう」という言葉は、本当に感謝の思いが込められていたのでしょう。

憎しみと悔しさに満ちていた母親の心の中の瓦礫を、一瞬にして溶かしてしまったのです。

私はこの、母親と祖母の話を思い出すたびに、感謝の思いの力のすごさを感じます。

「感謝」から「許し」が生まれ、また「許し」が「感謝」を生みます。

この世の中が、「感謝」で充ち満ちたならば、きっと素晴らしい世の中になるのにな。

「感謝」で満ちた世の中を創っていきたいな。

そう思わずにはいられません。


「感謝」と「許し」の素晴らしさを、亡くなった祖母と、母親から教えていただいた。

そんなエピソードでした。(大)