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境界性パーソナリティ障害3…特徴(1)見捨てられ不安




1.診断基準

境界性パーソナリティ障害は、9つの主な症状のうち5つ以上が当てはまる場合、その人は境界性パーソナリティ障害だと診断されます。


その診断基準はアメリカの『DSN―Ⅳ-TR 精神疾病の分類と診断の手引き』に書かれており、それに基づいて行われています。それによれば、境界性パーソナリティ障害の主要な症状は、次のようなものです。

1)現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力


2)理想化とこき下ろしとの両極端をゆれ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係様式


3)同一性障害:著名で持続的な不安定な自己像または自己感


4)自己を傷つける可能性のある衝動的で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い)


5)自殺の行為、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し


6)顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、または不安)

7)慢性的な空虚感


8)不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)


9)一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性症状

以上の内から5つ以上に当てはまる人が境界性パーソナリティ障害を持つと診断されます。専門用語が出てきてわかりにくいので、一つ一つを分かりやすく説明します。


2.見捨てられ不安が強い

境界性パーソナリティ障害の人の第1の特徴は、「見捨てられる」ことを非常に強く恐れることです。この「見捨てられ不安」の顕著な特徴は、ある人と親しくなると、その次の瞬間から、その人に見捨てられることを恐れる気持ちが生じることです。そして親しくなればなるほど、見捨てられるかもしれないという不安がどんどん強くなり、その兆候を見逃すまいとします。


するとわずかなしぐさや言葉の使い方、ごく些細な態度から、自分を邪魔に感じて見捨てようとしているという確信を持ちます。普通の人には何でもないごく些細なことで、非常に極端な結論へと飛躍するのです。


すると、境界性パーソナリティ障害の人は、見捨てられまいとしてしがみつくようになります。その人の機嫌を取ったり、その場を引き延ばそうとしたりするのですが、それは相手にかえっていやがられ、不安をあおるので逆効果になります。つまり相手はすこし引きます。するともっと見捨てられることへの不安が高まったり、あるいは逆切れして相手を攻撃したり、場合によってはリストカットなどの衝動的な行動に走ることもあります。

人は1歳半から3歳ぐらいの間に、母親から分離していく時期を迎えますが、この時期に母親から見捨てられることへの不安(「分離不安」と言います)が高まり、母親への一体感を求めてしがみついてきます。母親がトイレに立つとトイレにまでついてくるのがこの時期です。この分離不安の危機をうまく通り越すことができると、子どもは母親がそばにいなくても大丈夫になります。心の中に、いつも守ってくれる母親像がしっかりできていて、眼に見えるところに母親がいなくても安心できるからです。


境界性パーソナリティ障害の人は、この分離不安を乗り越える時期に、何らかのアクシデントがあり、その不安感を潜在意識下に持ったまま大人になったのではないかと考えられます。そうした心の傷を癒す必要があります。

このタイプの人は、見捨てられることへの不安が非常に強いので、未だ裏切られても拒否されてもいないうちから、先読みしてそう思いこんでいくという特徴があります。そして親しくなり出した時から、親しくなるとともに見捨てられることへの不安がどんどん大きくなるのです。だから、あまり最初から親密なそぶりをすると、かえって相手の不安をあおるので、適当な距離を置きながら安定的な接し方を心がける必要があるのです。親密になろうと握手をしたり、心の中を話す己開示を早くしすぎると、急激に不安の方も膨らんでいくので、気をつける必要があります。


次は境界性パーソナリティ障害4に続きます。


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境界性パーソナリティ障害1…愛情飢餓の苦しみを抱えて

1.決して珍しくない症状



境界性パーソナリティ障害は、最近増えつつあるのですが、対人関係が難しいという特徴があるので、大変厄介です。リストカットを繰り返したり、自殺の企てを何度もしたり、摂食障害で拒食症や過食症に悩んだり、家庭内での親への暴力、援助交際などの性的逸脱などなど、こうした激しい行動の背景には、往々にして境界性パーソナリティ障害が潜んでいます。これに薬物への依存が加わることもあります。
そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
アメリカではこの障害を持つ人は全人口の2パーセントもあり、さらに精神科外来患者の11%、入院患者では19%が境界性パーソナリティ障害の要素を持っていると言います。日本もそれに近づいてきているといわれています。



青年期に発症することが多いので、若い人の間では境界性パーソナリティ障害を持つ人は、大幅に割合が増えることになります。なかでも女性に多くみられ、80%をしめます。男性も20%を占めていて、性差がなくなっている現在では、男性が発症するケースも増える傾向があるようです。

2.見捨てられ不安と愛情飢餓

境界性パーソナリティ障害を持つ人は感情がとても不安定です。

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境界性パーソナリティ障害7…特徴(4)怒りのブレーキが効かない

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境界性パーソナリティ障害の人も私たちも、もっている感情に違いはありません。ただ違うのは、私たちより「物事を強烈に感じ、より激しい形で反応し、自分自身の感情や行動をうまくコントロールできない」ということです。
境界性パーソナリティ障害の人の怒りは激しく、予測不可能で、筋道を立てて話をしても抑えることができません。大雨の後の鉄砲水や地震や、晴れた日の雷のようなものです。現れるのと同じように、消えるのも突然です。

もう聞いているしかないほど怒りの激流となるので、相手をする人は疲れ果てて行きます。仕方がないから感情をなだめるために、境界性パーソナリティ障害の人の言うままになってコントロールされている家族があります。これは非常に多くあるケースです。この場合、家族の心の中には、出すことのできない怒りが蓄積されていくので、家庭の中の空気が非常に冷たくとげとげしいものとなりがちです。もっとも、境界性パーソナリティ障害の人の中には、自分の怒りを全く表現することができないという正反対の問題を抱えている人もいます。怒りがないのではなく、「少しでも怒りを表したらコントロールを失ってしまうとか、わずかな怒りでもそれを向けた相手が仕返しをするのではないかという恐怖心を抱いている」からです。怒りのブレーキが壊れているという感覚では共通しています。

通常このタイプの人は、怒りだけでなく、あらゆる感情が激しくて、それを抑えるブレーキが壊れているように感じています。それは彼らが痛みに対して、非常に過敏な心を持っているからです。ある専門家はこれを、全身の9割に重度の熱傷(やけど)を受けているような状態だといいます。「感情という皮膚がなく、わずかに触れたり、動いたりするだけでも、彼らは苦痛に悶えるのです」。ですから制御できなくて激しい反応が起きてしまうのです。
この敏感さは、境界性パーソナリティ障害の人が、潜在意識と同通しやすいこととも密接にかかわっています。鈍感な人であれば感じないので平気なことでも、潜在意識と同通して敏感な人にとっては、拷問なような苦しみを感じることがあるのです。心がむき出しになっていて、小さな刺激にも過敏に反応するのです。このタイプの人が、激しい猫舌であることも、しばしば見かけます。感覚も過敏であることが少なくないように思います。

②怒りの奥にある生き残り戦略…

境界性パーソナリティ障害2…主な特徴と種類

①極端な気分、感情のブレが特徴

境界性パーソナリティ障害を抱えた子どもやパートナーと一緒に生活すると、次のような経験をすることがあります。
・何のことはないごく些細な言葉で、さっきまで楽しくしていたのが、急に怒りだして手がつけられなくなる。
・少し言い過ぎた言葉、その一言でむきになり、家を飛び出してしまう。時には自殺企図へと走ったりする。
・一言注意されると、もう怒りが爆発して、手が付けられないほど暴れまる。
・冗談で言った言葉にすら、深く傷つき思いつめてふさぎ込む。
・何気ない動作が、愛情の希薄さだと責められて、唖然としてショックを受ける。
子どもやパートナーがこうした反応を繰り返すと、家族はしだいに腫れ物に触るように、顔色を常に窺いながら、機嫌を損ねるのを恐れながら暮らすようになっていきがちです。薄氷を踏むような危うさ――。家族は言いたいことを言えず、常に自分を抑えて暮らします。
こうして家族はその人に支配されているような状態に陥り、息苦しさを感じます。もちろん、ご本人にはそうした意図はありません。ご本人はどうしようもない感情・気分のブレに苦しんでいるのですが、結果的には周囲を支配しているのと変わらない状況が生まれがちです。

境界性パーソナリティ障害は、感情や気分、行動の変化があまりにも激しいという特徴があります。しかも変動の幅が大きすぎ、まったく正反対の方向へぶれたりします。
飛行機の操縦かんを動かし過ぎると、機体は激しく振動し、上下にもブレを繰り返すといいますが、同じことが心の操縦かんで起きているのです。
アメリカで作成された「DSM―Ⅳ 精神疾患の分類と診断の手引き」を見ると、境界性パーソナリティ障害の診断基準として次のような項目があります。

「顕著な気分反応性による感情不安定性」・・・(例)通常は2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い深い気分、いらだたしさ、または不安。
「不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難」・・・(例)しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す。