回想の方法
(前回からの続き)
相手の気持ちに触れる
書くときに、過去の回想として書くという方法がまず思い浮かびますが、ロールレタリングという往復書簡法を使うと、非常に効果的に回想が進みます。往復書簡法を使うのは、たとえば父親との関係を振り返りたいときは、自分と父親との手紙のやり取りを、自分が双方の立場に交互になって行うのです。その時に、父親の視点に立って書くと、今まで自分が思ってもみなかった父親の気持ちに触れたり、忘れていた記憶がよみがえってきたりします。
過去の回想で最も重要なのは、自分が周囲の人にどういう影響を与え、どういう思いをさせていたかを理解することです。これが分かると、真の意味での反省ができます。自分の発した言葉で相手がどれほど傷つき苦しんだのかを知ると、おのずと反省せざるを得なくなります。申し訳なかったという気持ちが生まれ、償いたいという思いを持つのです。そして二度と同じことをしまいという決意がうまれます。
この時に、自分を裁かないことが大切です。自分を裁いて自己卑下したり、罪悪感に捉えられると、あらたな傷が生まれます。これでは癒されません。そういう自分であっても生かされて生きているという事実に気がついて、感謝の気持ちを持つことが必要です。そして、そういうプロセスを経てきた自分を、これも自分であると受け入れることが必要です。
臨死体験者の経験をヒントに
私はこの時にどういう気持ちで自分を見つめるかという点では、臨死体験者の方の経験が非常に参考になると思います。臨死体験者は、過去の自分をまるでスクリーンの映像のように見るといいますが、その時に「光の存在」が立ち会ってくれます。その「光の存在」は決して非難したり裁いたりすることなく、「おじいさんが孫に与えるような、無条件の思いやり」(ダニオン・ブリンクスリー著『未来からの生還』)をもって寄り添ってくれます。そして、「その経験からあなたは学ぶことができる。何か大切なことをあなたは学ぶ」という無言の信頼に満ちたメッセージを送ってくれるのです。
この「光の存在」の温かい視線で、過去の人生の経験やその時の心の動きを見つめるのです。そして決して裁かず、その経験を通して得ることが期待されている洞察を得ようとします。「この経験通して、私は何を学ぶことが期待されているのだろうか」「何を学ぶためにこういう経験をしたのだろうか」と自分自身に問いかけて、その答えを待つのです。それによって真の癒しが得られます。
もちろん、カウンセラーがいる場合には、カウンセラーが「光の存在」の役目を引き受けます。それによって、相談者は自分を傷つけることなく、過去の回想ができるのです。
深層潜在意識の浄化
私たちは深層潜在意識にある過去世の記憶は、通常は覚えていません。例外は2歳から6歳ごろまでの子供です。彼らのなかには、過去世の記憶や母親の胎内での記憶を持っている人がいます。アメリカの心理学者には、膨大な数のそうした子供の事例を調査した大学教授おられ、権威ある仕事として評価されています。
大人でも、訳の分からない不安や恐怖心に悩むことがあります。今までそれらしい経験をしたはずがないのに、どうしようもなく不安が込み上げたりする人がいます。
カウンセリングの最中でも、時々そういうケースに出会います。この場合は、まず込み上げてくる感情に意識の焦点を当てます。どういう感情が込み上げるのかをつぶさに味わいます。そしてその時にどういうイメージが湧いてくるかに意識を向けます。そのイメージを簡単なクレヨン画にすることをお勧めします。イメージが湧けば、そのイメージを使って、さらにその時の状況や心の動きを調べることができます。それぞれのイメージが発しているメッセージや主張を心で感じ取るのです。そうすると、おぼろげながらも過去世で経験したことがどういうことだったのかが、理解できるようになります。
これは深層潜在意識に蓄えられている記憶であり、過去世にできたトラウマです。必要があれば、それは私たちの意識にのぼってくることがあるのです。特にカウンセリングの最中には、それが思い出されやすくなります。そのときに、潜在意識が心の傷の癒しを求めて、封印されていた記憶や感情が表面意識に浮上してくるのです。それを味わって、深く理解し、その経験を通じて得られる魂の教訓を理解できると、そのトラウマは次第に消えていきます。この場合に、特に退行催眠は必要ありません。覚醒したまま行いますので、非常に安全です。
心理療法のために
以上みたように、私たちの心の浄化には、過去の回想が不可欠です。そして、自分が抑圧してきたものを見出し、それと向き合うことが決定的に重要です。
ですが、抑圧は、それに気付くことを拒否した感情です。だから、発見が困難です。
そこで、夢や投影法を使う必要が出てきます。表面意識を鎮めて潜在意識が浮上しやすいようにする方法も必要になります。これは心理療法(カウンセリング)の領域ですが、個人でもできないわけではありません。しかし、やはりカウンセラーによる手ほどきを受けることが早道だと思います。
個人でする場合でも、カウンセリングでする場合でも、丹田呼吸法が十分いできていると、非常にやりやすいのは事実です。この「希望のブログ」でも、しばしば呼吸法に言及しているのは、それが大変有効で必要不可欠だからです。
なお、多忙、もしくは遠方の方でカウンセリングができない人のために、メール・カウンセリングを行っています。書くことによって回想が進みますし、ロールレタリングの指導も行っており、心の浄化には効果的です。ご希望がある方は、メールか電話でお問い合わせください。(種村)
<連絡先:種村トランスパーソナル研究所>
所長兼心理カウンセラー 種村修
電話番号:090-8051-8198
メールアドレス:tanemura1956@gmail.com
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