トリックスターの働き 人生には、「 運命のいたずら 」で人生が一変することがあります。運命を司る神様のおぼしめしとも見えないこともありませんが、その多くは深層潜在意識からの働きかけのように思います。 この思いがけない運命の内なる導き手のことを心理学では「 トリックスター 」と呼びます。私たちがトリックスターの抗しがたい力によって導かれることで、運命の激変とそれに伴う人格の変容を遂げます。 私たちの自我(エゴ)は、安定を求め、多く所有することも求め、社会的に評価されることを求めます。安定、評価、所有はエゴの特徴です。 ところが、トリックスターが働き出すと、変化を求め、自分の納得を優先し、自己放棄・献身の道へといざなわれます。 奴隷としてアメリカに売られながら、アメリカで身を立てて戦前の日本の大蔵大臣になって金融危機を救った方がいましたが、そこに見事なトリックスターの働きを感じます。 誰しも運命の急激な変動や思いがけない展開を経験することがあります。その背景にはトリックスターの働きがあるようです。 もっともトリックスターという特別の存在があるというより、そういう潜在意識の働きがあると捉えると、わかりやすいと思います。 トリックスターは人生の停滞を嫌うようです。会社勤めで毎日平凡な仕事にあけくれていたり、会社で出世できないことが見え出しお荷物になって停滞してきたり、ベテランの教師が同じことの繰り返しの中で成長が止まってきたり・・・。しばしばそういう時にトリックスターが現れます 私も人生では思いがけない出来事の連続でしたが、特に中年以降にそうしたことが増えました。今振り返ると、これはやはりトリックスターの働きが深層潜在意識で作用し人生行路を変えてきたように感じます。この導き手は、変化をよしとして停滞を嫌うようです。離陸を求め、単なるくり返しの人生を嫌う、そうした「成長」を求める意識が働いているのが分かります。どうやらそれはますます加速しているようです。 変化を加速することで人格が停滞せず、より成長していく方向へと向かう。それがトリックスターの狙いのように思います。 視点を変える トリックスターの