3.ありのままの自分を愛する
この段階に来た時に、私はありのままの自分を愛することができるようになりました。そして自己受容をできるようになると、人を受容できるようになったのです。ありのままの人を受容するというのは、その人を愛するのに条件をつけないということです。ありのままのその人を受容し、その人の苦しみも、葛藤も、問題点もありのままに受け入れながら、同時にその人の奥にあるダイヤモンドのような輝きのある「自己」を感じ取り信頼できるようになったのです。
人の苦しみは、その方の表面意識とその方の「自己」とのかい離があるために生じています。その方が自分の「自己」に目覚め、いわば「聖なる意志」につながりを取り戻した時には、悩みは消えていきます。そしてそれを手助けすることが、心理カウンセラーの私の使命です。
自分自身が「自己」と対話でるようになると、人の中にある「自己」、すなわち個性である「聖なる意志」と対話ができるようになります。私はある方の「自己」と対話していた時に、その方の自己はいかなる苦しみの人生を潜り抜けようと自分自身は超越潜在意識から分かれ出た「金剛身」(ダイヤモンドのように決して穢れることがない不滅の輝き)であるという自覚を、常に確固として持っていることを感じました。私は非常に感銘を受けました。そして改めて自己信頼を深めることができました。
4.共感の器を作る
私がさまざまな人の人生経験を伺うにつけて思うのは、それがどれほど厳しくつらく、時には悪と思える経験であっても、その経験を潜り抜けて本来の自己に立ち戻った時には、それらはすべて他者に共感する力を養った経験へと変わるということです。人はいろんな心の状態を経験します。人を害したり自分自身を傷つけることもあります。しかしそれがあるからこそ、他者の類似した経験に共感できる力が備わっていくのです。
この世の地獄の最深部を経験したほどの魂は、同じく地獄の最深部で苦しむ魂の心の叫びを深く理解でき共感を持って受け止めることができるはずです。それにより、苦しむ魂に共感的理解の架け橋を渡してあげることができるのです。絶望、恐怖、孤独などに苦しむ魂に寄り添って、愛のエネルギーを与えることができるのです。
しかし、そこまでの苦悩を経験した魂は、そうなった原因を心の中に見つけ出し、心を浄化しておかないといけません。自己浄化の方法は「命の炎を燃やせ②」で説きました。それができると、安定的にさまざまな人の苦しみに共感的に理解でき、心の架け橋をかけることができると思います。
つまり、さまざまな不幸や苦しみの経験が、愛を与え、人を慈しむ心へと転換されていくのです。ですから、私は様々な人生経験は「共感の器」を作るための経験であると捉えて、自分を決して裁かないでほしいと思うのです。自分を裁く人は人を裁きます。自分を受容できた人は人を受容します。
人は皆、その本質は超越潜在意識の分化した光り輝く意識です。「聖なる意志」を持ち、使命を帯びた個性のエネルギー体です。その個性が、表面意識を分離して地上にてさまざまな経験をする過程で、「共感の器」を作ろうとしています。「共感の器」という名の「愛の器」を作ることが地上での人生の目的の一つであるのです。そういう温かいまなざしで自分の人生を振り返り、人の人生を受け入れるときに、私たちは自らの愛の心を育むことになると思います。(種村)
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