勇気の影 勇気を必要とする仕事につき、幾度も勇気を奮い起こして人生のさまざまな局面を闘ってきた人は、通常は 恐怖心 を潜在意識に 抑圧 しています。勇気ある行動こそがその方の特徴であるならば、恐怖心は「影」 になり、普段は抑圧・封印されています。 しかし、恐怖心を 抑圧 して意識できなくなると、そこに別の問題が出てきます。恐怖心は 自分を護る という感情を伴います。自分を護ろうとするからこそ、 慎重 で、危険に対しては 智慧 を振り絞って対策を立てます。恐怖心が意識できないと、そうした心の機能が低下します。 伊藤博文はじめ、維新の元勲たちが外交を取り仕切っていた時期に、日本が勝利してこれたのは、彼らの列強に対する恐怖心が正しく機能し、それが慎重さや智慧として発揮され、断行の勇気を下支えしていたからだと思います。ところが、自分たちが一等国で強いと己惚れた時、必要な恐怖心が正常な形で機能しなくなり、蛮勇が生まれ危険な方向へと国を導いたのではないでしょうか。 ネズミの個性 ネズミは臆病な動物だと思います。人の中にもネズミ的な性格がある方は、恐怖心が非常に強いようです。でもその恐怖心があることで、 金銭感覚が発達 し、 未来への備え をきちんと残すことにつながります。未来への備えができない人には、恐怖心が欠落しているケースがあるように思います。 恐怖心が欠けていると、勇気は無謀な蛮勇になりやすく、未来への堅実な備えができません 。すると経済や人生の不調の波が来た時に、自分を支えることができず、誰かに 依存 せざるを得なくなります。 宗教的な人の中には、神様が何とかしてくれると信じて、未来への備えを考えずに高額の布施してしまう人がいます。信仰が恐怖心を抑えているのですが、実際に不景気の波が来ると、どうにもならなくなることがあります。そういう時は、家族や知人などに 頼らざるを得なくなります 。つまり 依存 です。 要するに、 恐怖心の機能が正しく働かないことで依存が発生するのです 。眼に見えないものの助けに依存して勇気あるようにふるまったのが、実は 慎重さと智慧を欠いた行動 だったことに、その時に気がつくのです。 自立に必要なもの こう考えると